suzu@kick diary

とあるキックボクサーの九転び十一起きな物語が現在、進行中です。

好きな作家 藤原新也さん

家にある本棚を思い浮かべると全体の3分の1くらいを
占めていて一番多いのが藤原新也さんの本です。
ここ数年で一番刺激を受けている作家さんの一人。

20代の頃から名前はずっと知っていたし、
メメント・モリ』や『東京漂流』などの代表作も知ってました。
書店で手にとることも何度かあったと思います。

でも手に取るこそすれ、特に惹かれたりもせず
購入するにはいたりませんでした。

がしかし、です。
30代になり、感性やものの見方、捉え方も変わったのだと思います。

ふと手にした『印度放浪』を見て、今まで見たこともない強烈な何かを感じました。
分厚い本にたっぷりつまった文字と写真の数々。

まず写真に驚きました。
そこに在る写真は今までに見た他者のどんな写真とも違っていました。
写真から途轍もない力や命を感じたのです。

横溢したあふれんばかりの人間の底力や
光や匂い、日常にひそむ神々しさがめくるページごとに
まさに迫ってくるような感覚に陥ったのを覚えています。

一度見たら忘れない人間の表情だったり、生死を真正面から捉えていたのです。
「わ、すごいな。」「これも強烈だな。」
そんなふうにぶつぶつ言いながら見て、読んでいました。

写真をみては今までに見たことのない世界に見惚れ、純粋な驚きを覚えました。
カメラという機械で切り撮られた世界のはずなのに
まるで普通に写し撮ったとは思えない仕上がりでした。

特殊なカメラでも使用しているのかなと思ったが
使っているカメラはごくごく一般的な普通の
どこにでもあるような類のそれであったのです。

こんな作家さんだったとは何でもっと早く気づかなかったのかと悔いた。
以来、その深みの正体を知りたいと思って
藤原新也さんの本、数冊を一気に購入して読んだりもしました。

文章も『メメント・モリ』で発せられているように言葉の重みがすごい。
言葉に思いが、気持ちがやどっています。
色々と氏の作品を読んだが、人間社会の核心を探究しようとするその姿勢はかっこいいです。

『コスモスの影にはいつも誰かが隠れている』という
本のあとがきで藤原氏は下の言葉を残している。

「人間の一生はたくさんの哀しみや苦しみに彩られながらも、
その哀しみや苦しみの彩りによってさえ人間は救われ癒されるのだという、
私の生きることへの想いや信念がおのずと滲み出ているように思う。」
「哀しみもまた豊かさなのである。」
「なぜならそこにはみずからの心を犠牲にした他者への限りない想いが存在するからだ。
そしてまたそれは人の中に必ずなくてはならぬ負の聖火だからだ。」

f:id:suzukiyuta3104:20170726120905j:plain

文章に力強さだけでなく、なんだな暖かみみたいなのがあるのはそれ故だろうか。

********

そして、前置きが長くなってしまったのですが、
現在、藤原新也さんの写真展が開催中です。

www.asahi.com

福岡県の玄界灘にうかぶ沖ノ島を撮影した大規模な写真展。
「神の島」と呼ばれるこの沖ノ島は今年新たに世界遺産に登録されました。

先日、沖ノ島の保護の観点で
厳しく島への立ち入りを制限するから島への一切の立ち入りを禁じるとの発表があり、
今後は入島することは完全にできなくなりました。

この島で見聞きしたことを外にもらしてはいけない、女人禁制、
一木一草持ち帰っていけない、禊をうけてから島に入ることが許される、
など神域としてのしきたりがずっと続いている神の島。

この写真展でその全貌をみることしかできない貴重な写真展でもあります。

いまだ手つかずの純粋で清廉な気に満ちた
太古からの風や気配を感じることができるのではと思います。

僕はまだこの写真展を見ていないが見れる日を心待ちにしている。